松尾茜のブータンなう

はじめまして!

プロジェクトを進める上での相棒、RSPNのツェリン・チョキさん(左)と彼女の息子さん(中央)と筆者(右)

みなさん、クズザンポー。はじめまして!
JEEF国際事業部、ブータン駐在員の、松尾茜と申します。
“クズザンポー”は、ブータンの国語、ゾンカ語で、“こんにちは”という意味です。

今日から、こちら『ブータンなう』のコーナーで、プロジェクト活動や、たまにはプライベートのことなど、みなさんに少しでも、ブータンのこと、JEEFの活動にご興味をもっていただけるよう、日々の様子を気ままにお届けしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします!

さて、今日は初回ですので、簡単に自己紹介をさせていただこうと思います。
私は、東京生まれの東京育ちです。
どうして、東京という大都会出身の私が、ブータンという人里離れた地に住むに至ったのか?いつも、皆さんからご質問いただきます。
そこで、ちょっと長~い話になってしまうのですが、せっかくの機会ですので、私がブータンでJEEFの事業に関わるに至った経緯を、簡単にご紹介したいと思います。

はじまりは、中学生の頃にさかのぼります。授業で習った、マザー・テレサさんや緒方貞子さんの活躍に感銘を受け、「たまたま日本人として恵まれた環境に生まれ育った自分は、途上国など、たまたま恵まれない環境に生まれ育った人たちのために、何か行動をおこす必要があるのではないか。」との思いがつのり、国際協力の分野に興味を持つようになりました。

そして大学に入学し、国際協力について色々と自由に勉強をする中で、さらなる問題意識が生まれました。「そもそも、先進国/途上国という区分自体が、先進国による勝手な見方だ。経済的・物質的に発展することが、必ずしも優れていること、良いことではないのではないか。」という気付きに至ったのです。そこで、文化人類学のゼミに入り、アジア、アフリカ、南米などの世界各地で、資本主義が主流となる以前の各地域の価値観を学ぶことにしました。すると、高校生の地理や世界史ではあまり時間が割かれなかった(残されている資料が少ないのですから、ある意味当然ですね)、これらの地域の文化や習慣・伝統文化が、いかに本質をついており興味深いかがわかり、その世界にのめりこんでいったのです。

そんな中、シンガポールに交換留学をし、実際に東南アジア各地をバックパッカーとして旅する機会を得ました。そこで、各地の“伝統文化”や“自然”が、「観光地化」という資本主義経済の波にのまれ、“売りもの化”してしまい、しかも地域の人々はその経済発展の恩恵をほとんど受けていないケースが多い、という実態を目の当たりにし、大きな衝撃を受けたのです。

当時、まだ若かりし21歳。この東南アジアでの実体験と気付きから、生涯にわたり、自分がどうやって国際協力の分野に携わっていくか、方向性が定まったのです。私はもともと、旅行や写真、イベント運営などが好きだったこともあり、ツーリズムを通した国際協力が自分の専門分野になれば、「好きを仕事に」することもできると思いました。

地域固有の自然や文化、
昔ながらの人々の生活を保護しながら、
ゆるやかに交流人口を増やし、
地域経済を、訪れた人の心身を、
着実に豊かにしていくような観光を、
世界各地で促進していくこと

私が生涯を通して実現したいのは、これだ。
そう心に定め、大学卒業後、まずは観光業の実務経験を積むべく、東京の旅行会社に入社し、ちょうど当時注目され始めていた、訪日旅行(インバウンド)事業に携わることになりました。
訪日旅行の仕事をする中での一番の気づきは、日本の地域がいかに魅力に溢れているか、ということでした。各地に独自の美しい文化や自然が、一部はそのまま残され、一部は失われ、また一部は再生している。そのダイナミズムに深く関係している産業が観光であり、その地域の観光振興の方向性は、地域の発展の在り方を大きく左右するというがわかりました。

そんな中、ヒマラヤの小国ブータンでは、GNH(国民総幸福)の向上という国の指針のもと、“High value, low impact”なる観光政策を掲げ、公定料金制度なるユニークな仕組みがとられていることを知り、とても興味を持ったのです。ブータンについて調べれば調べるほど、その独自の国づくりの手法や、仏教に基づいた人々の価値観に、心惹かれていきました。そして、一度旅行で訪れた後、「修士号に進み、ブータンの持続可能な観光開発についての研究をしよう。」と決心した矢先、“ブータン政府観光局本局で、マーケティング・PRを担当する日本人職員募集”という情報を見つけ、迷わず応募したところ、採用が決まり、ブータンの首都ティンプーで勤務することになったのです。
そうしてブータンに降り立ったのが、2012年5月。今思えば、ちょうどJEEFとRSPNが、ポプジカでのCBST事業を始めた時期でした。

ブータン政府観光局では、ちょうど国王夫妻が2011年11月に日本を訪問され、ブータン・ブームが起きているタイミングでもあったため、日本市場向けのブータンPR担当として、忙しくも充実した日々を送ることができました。そして、政府観光局での2年8か月の勤務を経た後、2015年1月、JICA草の根技術協力事業『ブータン王国ハ地域における持続可能な観光開発と人材育成プロジェクト』がスタートするのに合わせ、現地駐在員を必要としているということで、JEEFからお声がけいただき、職員となりました。こうして、JEEFのブータン現地カウンターパートであるRSPNティンプー事務所にて勤務することになり、現在に至ります。

シンガポール留学中の、途上国での観光開発のあり方への気づきから、早10年(あ、年齢がばれますね…笑)。回りまわって、こうしてブータンにて地域観光開発のプロジェクトに直接関わることができ、この機会を与えていただいた方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。現在では毎日、優秀なRSPNのブータン人スタッフらと共に、プロジェクトにまい進しています。

ブータンで生活し、地域の人々やティンプーの様々な機関の人々とお仕事をする中では、日々、日本では考えられないような出来事も、たくさん起こります。こちら、『ブータンなう』のコーナーでは、そんな飾らない現地の様子を、日本の皆さんにお届けしていきたいと思っています。基本的に、ちょっと笑ってしまったり、ほっこりするような内容が多いんじゃないかな~、と思っております。どうぞ、よろしくお付き合いくださいね。

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