ブータンの今を知る

保健・衛生

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ブータンの保健・衛生事情においてまず特筆すべきことは、国内の医療サービス(一部の民間医療機関を除く)が無料で提供されている、ということです。2015年は国家予算の8%が、医療費に充てられました。首都ティンプーには国立病院、各ゾンカク(県)には地方病院、各地域には、BHU(Basic Health Unit)という、簡素な保健所のような機関があり、ブータン人のみならず、外国人でも、無料での診察、薬の処方が受けられます。またハ県のようにインド軍が駐留している地域には、イムトラット・ホスピタルと呼ばれる軍の病院もあり、寛容にも、地域に住むブータン人々も、そのサービスを使うことができます。ティンプーには、ブータンならではといえる、チベット医学による治療が受けられる伝統病院もあります。

しかしながら、まだまだ発展途上国であるブータン。医療分野での課題も山積しています。看護師や医師の不足、設備投資に対する資金不足、近年急速に拡大していている生活習慣病などです。以下、2015年のブータン首相によるThe state of Tsa-wa-sumより、政府がこれらの問題に対して打ち出している対策を抜粋し、ご紹介します。

  • 2014年、ティンプーの国立病院(JDWNRH)が独立行政法人化。今後もますます、医療機関・研究機関・教育機関としてのサービスを拡大させていく。ちなみにティンプ―国立病院には、日本から常時、JICA青年海外協力隊の看護師等が、多数派遣されています。またティンプー国立病院は京都大学とも提携しており、多くの日本人医師が支援を継続的に行い、ブータン初の医学部設立にも大きな貢献を果たしています。
  • 特に医療施設が不足している、南部ブータンのチラン、サムツェ、デワタン等に新たに医療施設を建設予定。
  • 医療関連データのICT技術を駆使したデジタル化の推進。
  • 生活習慣病の中でも特に患者数の多い、糖尿病患者のための専門ユニットの各BHUへの設置促進。
  • ブータン独自の伝統医療技術の保護と推進。
  • 安全な水へのアクセス改善(現在ブータン全国で94%の世帯に、安全な水へのアクセスをするためのインフラが整備されたが、きちんと機能しているのは84%にとどまっている。)
  • 地方の衛生問題。地方では、まだまだ32%の世帯が不衛生な状態にあるという調査結果がある。下痢などの不衛生による病気も多い。清潔なトイレ管理もまだまだ行き届いていない。衛生概念向上に向けた、人々の意識改善が必要。
  • 都市部を中心とした、若者の薬物依存に対する対策。

健康は、ブータンが達成したい“国民一人ひとりの幸福”の基盤でもあります。今後も、国レベルから地域レベルまで、幅広く長期的な医療対策を継続することが求められてると言えるでしょう。

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