松尾茜のブータンなう

ツーリズムEXPOジャパン セミナー開催にむけて

持続可能な地域観光開発セミナー

明日、9月22日から4日間にわたり、世界最大級の旅の祭典『ツーリズムEXPOジャパン』が、東京ビックサイトにて開催されます。2日目の9月23日(金)午後、JEEFが『持続可能な地域観光開発セミナー』を主催するのですが、今回は、このセミナー開催に至るまでの裏話、そして、私自身のセミナーに対する想いと、感謝の気持ちを綴りたいと思います。

日本版“地域おこし”のノウハウは素晴らしい!それなのに・・・
ブータンで地域観光開発の仕事をしていていつも思うのは、「日本各地における、“観光による地域おこし”の活動は、バラエティと創意工夫に溢れていて、とても面白い。ブータンをはじめとする、アジアの途上国で同様の事業を行う際、ものすごく参考になる。」ということ。
しかし、世界中で地域観光開発に関わる人たちの中で、日本が行うような“地域おこし”の有用性を実感しているのは、主に日本人だけでしょう。なぜなら、日本の“地域おこし”のノウハウにまつわる情報のほとんどは、日本語で、日本語のメディアでしか発信されていないからです。
日本人は、様々な日本語情報に、インターネット上から簡単にアクセスできます。しかし残念ながら、ブータン人をはじめとした、ほとんどの外国人は、日本で興味深い“地域おこし”の活動が行われていることすら、なかなか知るチャンスが無く、その成功事例から学ぶこともできないのです。
「日本の“地域おこし”の成功事例を、まずはブータンの人々と共有したい。特に、地方から都市へと移住を続ける若者たちへ、メッセージを伝えたい。」―その想いは、日々募るばかりでした。

発信上手な欧米機関
一方で、似たような“観光による地域おこし”事業を多く手掛ける欧米の機関は、とても発信上手。ブータン人の同僚であるRSPNのチョキさんも、いつも、欧米の機関が手掛けた事例ばかりを参照していました。具体的には、以下のような英語WEBサイトの情報です。

Solimar International (アメリカの観光開発専門コンサルタント会社)

Planeterria Foundation (カナダの旅行会社G AdventureのCSR部門)

High Impact Tourism Training for Jobs and Income (HITT) programme (オランダ発の国際NGOであるSNVが推進する、ツーリズムによる職業支援プログラム)

地域観光開発に関する専門性は、これらの欧米機関の事例と日本の事例で、そこまで変わらないはず。それなのに、彼らは国際的な発信が上手で、ちゃんと、このヒマラヤの奥地、ブータンのチョキさんにまで届いているんだから、すごいよなぁ・・・と、指を加えて眺めていました。
「私たちのような、日本の事業として手掛ける地域おこしの事例も、もっと世界に向けて、効果的に発信したい。絶対に、多くの地域の参考になるはずだ。」との想いは、さらに募っていきました。

国連機関の力を借りて
そこで力を貸してくださったのが、私が大学卒業後、新入社員として初めて入社した会社での、“指導社員”でもあった、熊田さん。現在は、観光庁・JATAの推薦で、日本人として初めて、スペイン、マドリッドの国連世界観光機関(UNWTO)に出向されています。熊田さんは、旅行業界メディア、トラベルボイスのコラムでも連載をされています。
昨年末、偶然にも日本への一時帰国中に再会する機会があり、思いのたけをお伝えしたところ、「まずは何ができるのか、観光庁にアプローチしてみよう。」と、担当者をご紹介いただきました。そして、観光庁との打ち合わせが実現し、「来年のJATAツーリズムEXPOジャパンで、日本が国内外で行う“観光による地域おこし”の事例を紹介するセミナーを開催したらどうか。」というご提案を頂くに至ったのです。
その後、熊田さんは、UNWTOから本セミナーへの後援を取り付けて下さり、かつ開会挨拶にもご登壇いただけることになりました。国際機関であるUNWTOからご支援をいただくことは、セミナーの価値を国際的に発信するためにも非常に重要だと考えていたので、後援が決まった時は、舞い上がるような嬉しい気持ちになりました。

はじめの一歩
当初から、私の問題意識に賛同いただき、実際に原動力としてセミナーの準備をゼロから推進してくださったのは、JEEFの田儀さんです。セミナー実施にあたり、想定していた予算確保が難しいことが判明したり、なかなか登壇者が決まらなかったり・・・と、困難にも多々直面し、田儀さんにはかなりのご負担をおかけしてしまいました。私自身はブータンに駐在しているため、日本国内でのセミナー準備業務を効果的に行うこともできず、もどかしい気持ちも募りました。一時はどうなることかと思いましたが、粘り強く各関係者と交渉を続けていただいた結果、JICA地球環境部、道の駅とみうら枇杷倶楽部、SATOYAMA EXPERIENCE、HISスタディーツアーデスク、という素晴らしい方々にご登壇いただけることになり、魅力的なセミナー内容に仕上がったのです。

『持続可能な地域観光開発セミナー』のチラシはこちら

本音を言えば、セミナーに日英同時通訳を入れて、EXPOに参加している、海外とくに途上国で観光開発事業を行う方々に対して、日本が行う地域観光開発の事例を紹介したい、という思いがありました。そして、私自身、相棒であるRSPNのチョキさんと一緒に、セミナーに参加するのが夢でした。残念ながら、予算の都合もあり、それらは叶いませんでしたが、とにかく今回はゼロからのスタート。これをはじめの一歩として、必ず次のステップに繋げたいと願っています。

セミナーの開催ひとつとっても、これだけの経緯と想いが詰まっていること、この投稿をお読みいただいた皆さんに、うまく伝わったでしょうか。世界140超の国地域と47都道府県をはじめ、過去最多の1585コマのブースが出展をする、2016年のツーリズムEXPOジャパン。多くの人の想いが、大きなエネルギーを生み出すことでしょう。私たちがブータンで行うCBST事業の大事なパートナーである、ブータン政府観光局も、EXPOに出展します。週末の、9月24日(土)、25日(日)は、一般公開日です。皆さんも、観光産業がもたらすパワーを感じに、またシルバーウィークの最後を彩るイベントとして、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。最後に、今年のEXPOテーマをご紹介して、締めくくりたいと思います。

「旅は変える。人生を。世界を。」

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