ブータン事業に関わって

まずは知ることから:森岡寛貴さん

ブータン_森岡写真_ティンプー
クズ ザンポーラ!(こんにちは)
 
私がブータン王国へ向かったのは、2012年11月26日。東日本大震災の年にブータン国王夫妻が来日されてから、ちょうど1年が過ぎた頃でした。マスコミが伝えるブータン旋風の中で覚えた「親近感」は、ワンチュク国王のスピーチ以上に、ブータンという国の「平和と調和の精神」や「足るを知る伝統的な価値観」を知ったからでした。
私の故郷では毎年8月9日になると黙祷を捧げ平和を祈り、また豊作・豊漁を願い感謝する祭りなども盛んに行われてきました。そういった価値観の中に、故郷とブータンの共通性を感じるようになりました。そして何より、ワンチュク国王夫妻による福島訪問の心暖まるご配慮を知り、東北支援に通う自分は共感して嬉しくなったことを思い出すのです。
 
 
そもそも渡航の目的は、オグロヅルの越冬地「ポブジカ」にある観察・教育センターの展示物をデザインすることでした。仕事のために本物の「ブータンの色と形」を確かめるために向かったのです。
普段使っている色の背景には、その土地の文化や宗教による影響があり、色の好みにも偏りがあります。同じ仏教の色彩にも国によって微妙に異なる意味があるようですから、滞在中にどれだけ本質に近づけるか…そこに私たちデザイナーの苦労と楽しさがあります。
 
日本からはバンコク経由のルートで、ブータン唯一の空港パロへ向かいます。窓の外の綺麗なヒマラヤ山脈を拝んでいると、やがて飛行機が高度を下げ、郷愁あふれる田園風景と白い伝統建築の家が見えてきます。
 
パロから首都ティンプーへ向かう途中、山間の風にたなびくカラフルな五色の旗が見えてきます。その「タルチョ」という名前は知らなくても、ガイドブックなどで見たことのある方は多いと思います。風にはためくと、そのお経を読むことと同じ功徳があるようです。旗の青は「天」、白は「風」、赤は「火」、緑は「水」、黄色は「地」の意味で、並べる順番も決まっているようです。多くのタルチョの真ん中には馬、まわりにはお経が書かれています。馬は人々の願いを乗せて、風に乗り天高く駆けて行くようです。
 
 
二日目にはオグロヅルの飛来地・標高3300mのポブジカへ向かいました。ドチュラ峠〜ワンデュ・ポタン〜など珍しい響きの土地を、ガイドさんの車で登って行きます。ブータンで東西に横断する場合は必ず峠を越えることになり、それらは平気で3,000mくらいの標高だったりします。デコボコ道を走ることおよそ6時間、谷の中央に集まったきたこの絶滅危惧種のツルに、ようやく会うことができました。
 
三日目の早朝は吐く息も白く、乾燥した広い谷は一面霜に覆われていました。朝陽が辺りの空気を黄金色に染める中、風に乗って舞い降りる「天国の鳥」は、まさしく気高く神秘的なブータンそのものでした。
 
 
多様な自然や文化に触れ完成した展示物は、「持続可能な開発」のため展示されています。ブータンを訪れる際は、ぜひポブジカの観察・教育センターを訪れてみて下さい。
 
 
森岡寛貴さんのページはこちらです→http://www.geon.jp/ 
 
下は森岡さんがポブジカのセンター用に作成してくださったパネルです。
ブータン_バナー03
 

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