ブータンに心を寄せるみなさん、こんにちは。
このページをご覧いただいている時点で、あなたはおそらくブータンと深い縁のある方なんだろうと感じます。
私がブータンという国に惹かれたのは、2011年、東日本大震災とそれに続く福島の原発事故のあと、どの国の外国元首、どの国の外交官、どの国のビジネスマンや観光客が日本に来るのを敬遠していた時期に、かの国の国王、そして妃殿下が日本を、そして福島の地を新婚旅行先に選ばれたことです。
当時、日本、そして福島は続く恐怖と渦巻き連鎖する懐疑の念が充満していました。その時期に、GNH(国民総幸福量)を高めることを国是とする国王陛下の我が国における演説の数々は、私の心をわしづかみにしました。たとえ小さく非力であるとわかっていても、ひたすらに祈り、そして連帯の気持ちを身をもって表すことは誰にでもできることを教えてくださったのです。なにより、どんなときでも幸福であり続けるということの仏教の本質を体現されている姿が、私たちの魂を震えさせるに充分でした。
私も京都で小さな会社を経営しています。「小さな山椒はぴりりと辛い」を目指し、農薬や化学肥料、化学調味料など、環境や人体を害する品を含まない品を商っていますが、日本ではまだ小さな歩みかもしれません。大量消費、経済成長、贅沢が善とされる世の中にあって、少量、持続可能、素朴であることを目指すのは、世界の将来に不安を覚え、また大切なことを置き去りにしているのではないかという問いかけから始まっています。世界がたとえ資源を食い尽くす方向に向かっていたとしても、かの国はそれから距離を置くことを決めました。私たちも、そのような存在であり続けたいと願っています。事業に身を置くものが偉そうなことをいうようですが、人々の日常と結びつくビジネスにはその可能性があると信じているのです。
とはいえ、ブータンにもIT化の流れのなかで、西洋の価値観が広がりつつあります。より多くを持つことを求める気持ちを誰も止める権利はありません。しかし、ブータンには隠された資源が出番を待っており、彼らにとっては当たり前のものであっても、もしかするとそれはダイヤモンドの原石かもしれません。
ブータンにとっての持続可能な開発とは、私たちと同じように、身近にある可能性をいかに引き出すかにかかっています。このプロジェクトではそれを見いだし、知恵をもって伸ばし、愛をもって育むための人材を必要としています。たとえ小さな歩みでも、それはいつか大きな波となり、両国の人と人を未来永劫に強く繋ぐきっかけとなれば幸いです。あなたも、その仲間に加わって頂けると幸いです。
プレマ株式会社代表取締役 中川信男