さて、続いて農家でのホームステイ受け入れ研修の様子をレポートしたいと思います。ローカルガイド同様、ハ県事務所を通してホームステイ受け入れを希望する農家を公募したところ、なんと40軒もの応募がありました。ブータン西部の人たちの特徴として、活発、おしゃべりで商売上手(ん、こう書くと大阪人っぽい?)と一般的に言われていますが、それを実証するかのように、募集の過程でも研修中も、皆さんとにかく積極的で飲み込みも早い!研修に助っ人として日本から参加いただいたJEEF職員の柴原さんも、「おっとりしていて、お金儲けがモチベーションにならなかったポプジカの人たちとは、だいぶ違う!」と驚いていらっしゃいました。
40軒の応募があったうち、受け入れ先として適している20軒を選定し(実はこの農家選定作業が、先日のドキュメンタリー番組の取材と重なり、放送されたんですよ。私が農家の娘、サンゲイと出会うシーンです。)すでに受け入れを行っている数軒を合わせた約25軒の農家を対象に、研修を行いました。研修内容は、以下の通り。
- ホスピタリティ:おもてなしやお客さまの視点
- ハウスキーピング:お部屋のお掃除やベッドメイキング
- 食品衛生:食事の衛生管理や地元の味を活かした魅力的なレシピの開拓
- 保健・安全:救急手当や防災
それぞれの項目を、ブータン王立観光ホスピタリティ専門学校(RITH)の講師、ソナム・ツェリン氏と共にこなしていきました。

触感と鮮やかな緑色を活かした、シンプルなアスパラガスの調理方法を伝授するソナム氏

ブータンのアスパラガスは、もちろん無農薬!ヒマラヤの強い日光を浴び、力強く育ち、味もしっかりしていて美味。
参加者のほとんどは、農家を仕切る女性たち。これまで普段、“家族や知人のために”何気なくこなしてきた家事の延長線上に、“お客様のための”おもてなし=ホスピタリティがあるのだということを、研修を通して気づいてもらえたように思います。家族や知人のように、心を込めてお客様を温かくお迎えしつつ、きちんとプロフェッショナルなサービスを提供し、その対価である代金を収受するのが農家ホームステイの仕組み。その意義や絶妙なバランスを、長年の経験からしっかりと理解しているRSPNのチョキさんは、研修のまとめ役として、終始、非常に頼れる存在でした。

ポプジカでの事業時に自ら作成した「ホームステイ・オペレーション・マニュアル」を研修生に配るチョキさん

First AID資格保持者のJEEF柴原さんと一緒に、救急手当方法をデモンストレーション
7月に研修の後半が終われば、修了証を発行し、いよいよそれぞれの農家がホームステイの受け入れを開始します。どんなに研修で学んでも、やはり、実際にお客様の受け入れを経験するのが、コミュニティの人々にとって何よりの勉強になります。一番大切なのは、「継続してお客様を受け入れること」。その中での成功や失敗、気付きが、受け入れ農家のさらなるモチベーションの向上や、サービスの質の向上に繋がるのです。そのため本事業では、研修後に農家へ安定した送客を図れるよう、マーケティングにも特に力を入れていく予定です。もちろん、日本からもひとりでも多くのお客様がお越しいただけるよう、これから私たちJEEFも様々な情報発信をおこなっていく予定です。
さあ、いよいよローカルガイドとホームステイ受け入れ農家の“顔”が見え、地域観光開発における“ホスト側”の役者が出そろってきました。7月~8月にはさっそく、日本から高校生やスタディーツアーの参加者がハを訪問してくださる予定です。初舞台にて“ゲスト側”の役者が出揃ったとき、果たしてそこでどんなドラマが繰り広げられるのでしょうか!舞台裏で見守る予定の私も、今から楽しみで仕方がありません。8月のHISスタディーツアーは、催行が決定いたしまして、まだまだ参加者募集中です!皆さまのお越しを、心よりお待ちしております!
●JEEF×HIS企画
あなたと考えるブータンのお土産開発ツアー 7日間
http://eco.his-j.com/volunteer/tour/TF-NPF0004
2016年8月20日(土)~26日(金)

食器も清潔に管理!

シンプルで清潔感のあるベッドメイキングを心がける

ロールプレイで楽しくお客様の気持ちを疑似体験

農家の窓も、ちゃんと磨けばピカピカに!